カテゴリ:このブログについて( 3 )
このブログについて
1 幾何学模様大図鑑の制作
幾何学模様は、様々な場面で使われている。包装紙・ネクタイの柄・壁紙・敷石・マンホールの蓋の柄・伝統工芸などなど。けれど、模様フリークの私から見ると、月並みな柄が多くてがっかりすることが多い。模様デザイナーの方々には、ぜひ長い人類史の蓄積を踏まえての創作をお願いしたいのだけれど、整理が難しいのだろう。あいにく、納得の行く本やデータベースにはお目にかかったことがない。
ないのなら誰かが作るしかない、ということで、勉強不足も力不足も棚に上げてしまった。このブログの目的のひとつは、幾何学模様大図鑑の制作である(ちなみに、よい本があったらぜひご教授下さい)。
2 模様の数理にまつわる情報交換
かつて数学専攻だったサラリーマンとしては、模様の数理について勉強したい気持ちもないわけではない。模様や図形の分割には、数学的に未解明な問題が多く存在する。その割に理解しやすいものもあって、問題によっては素人が貢献できる余地もあるのではないだろうか。
とはいえ、素人には限界もある。かならずしも「1 幾何学模様大図鑑の制作」に奉仕しなくても構わないので、模様の数理の情報提供、お待ちしております。当方も面白そうなのがあったら紹介したいと思います。
3 模様の知覚における転換現象の研究
模様をじっと見ていると、くり返しの単位がどこまでなのかが、変化することがある。たとえば「七宝繋ぎ」を見ていて、円が重なっているようにも見えるし、まるで「青海波」のように、重なりのない形が繰り返しているようにも思うことができる。模様はそういう多様な解釈を許している。動く模様を見ていても、途中のコマから別のアニメーションに分岐できるなあと気づくことがある。これも多様な解釈のひとつだろう。これらの多様な解釈は、模様を見るときの楽しみにとって、重要な役割を果たしているように思われる。
別のブログ「みずすましの哲学ノート」の中心テーマはこの「解釈が変わること」そのもの。哲学者ウィトゲンシュタインがアスペクト転換と呼んだ現象である。幾何学模様には、自然に解釈の多様性(解釈の曖昧性)が孕まれている。転換の種を宿している。当ブログでは、やれ知覚だ認知科学だと、正面切って取り上げることはあまりないと思うけれど、そんな転換の種をたくさん集めることも、このブログの目的のひとつに数えたい。
その他、何かあったかな。また思いついたら書きます。
今後の予定
1 ペンローズタイルについて
(1) 置換ルールとマッチングルールについて
前回「ペンローズタイルの作り方」で取り上げたのは、サブスティテューション(置換)による構成である。通常、ペンローズタイルの紹介では、タイル同士のくっつけ方(どの辺とどの辺がくっついて、どこはくっつかないか)を規定して、敷き詰めを行う。後者のルールをマッチングルールという。これらふた通りの構成ルール、相互の関係について分析する。
(2) ペンローズタイルの拡張(正7角形版)について
ペンローズタイルは正5角形を基本にしているが、他の正多角形を基本にしても非周期的なタイリングは可能であろうと思っている。残念ながら私は単なる模様愛好家なので、これが未解決問題なのか、誰かがすでに解決しているのか、よく分からないのだが。候補となるタイルの組み合わせの見つけ方は、過去にも記事にした。今できそうなのは、正7角形版の、置換ルールによる構成の分析である。
http://www.quadibloc.com/math/heptint.htm
ここでやられていることの追試験的なことになるかもしれない。
2 模様(タイリング)の分類について
大きく分けて、(1)タイルの形状に関する条件、(2)タイルの種類・組合せに関する条件、(3)タイルの繋がり方に関する条件。3項目による分類が考えられる。それぞれにつき、図を交えながら解説する。
3 周期的タイリングの模様例の整備
周期的タイリングについては、模様展示方法がほぼ標準化できてきた。実例を並べて、どんな感じになるか検証したい。周期的タイリングは対称性のパターンから17種類に分類されるが、それぞれ2~3例は欲しい。幾何学模様大図鑑への布石としても重要なので、実際に作ってみる。
17種類の分類については下記を参照:
http://mathinfo.sci.ibaraki.ac.jp/open/mathmuse/pattrn/Pattern.html
4 ツールの紹介
Inkscape、IrfanView、padieなど。
5 参考文献の紹介
いろいろあるので、引用の準備のためにも、まとめておきたい。
以上、予告通り進むか分からないが、私的な忘備録まで。