2015年 12月 13日
模様の分類の話
この記事は 日曜数学 Advent Calendar 2015 の13日目の記事です。(12日目:Mathematica(Raspberry Pi版)のMatrixPower関数を使い、行列のn乗(累乗)を計算してみた | ryuichi.matsumoto.963 )
ご存知ない方に自己紹介。私は模様を愛する総務のおじさんです。パズル懇話会と日本折紙学会の会員です。日曜数学会や数学カフェに出没しています。今年、日本科学未来館で開催されたサイエンスアゴラでは 日曜数学100連発 に登壇し「幾何学模様の不思議な世界」と題して発表を行いました。
今日は模様の分類について書きます。美しい幾何学模様は眺めているだけで心が躍ります。世の中には模様の図鑑がいろいろあります。ただ、すこし不満なことがあります。多くの図鑑では歴史的・地理的な模様の分類が行われているのですが、模様そのものの持つ性質によって数学的に分類されていたら、もっと楽しいのにと私は思うのであります。
模様にはふた通りあります。周期的な模様(繰り返し模様)と、そうでない模様です。周期的な模様とは平行移動によって、自分自身と重ねることができるような模様のことをいいます。平面上の周期的な模様、いちばん普通の模様たちを分類するとどうなるでしょうか。
周期的な模様
じつは対称性によって分類すると17種類になることが知られています。といっても、なかなかイメージがわかないと思いますので、この17種類、それぞれ1種類ずつ代表を並べてみます。


周期的でない模様
一方、周期的でない模様(繰り返さない)には、ランダムなものや置換タイリングによるものがあります。

置換タイリング(Substitution tilings)については、Tilings Encyclopedia でたくさん例を見ることができます。このブログでも「ペンローズタイルの作り方」「レプタイル その1, その2」「Self-tiling tile setsについて」などで関連の記事を見ることができます。ここでは一例としてレプタイルである、L型トロミノによる置換タイリングを示します。
平面以外の模様
3次元の非周期的な模様も知られています。たとえば、佐藤郁郎さんのコラムを辿ると、色々な例を知ることができます。
さて。ここまでの話題だけでも、模様の世界の奥深さを垣間見ることができたのではないかと思います。知れば知るほど、いろいろな疑問が湧いてきます。曲面上の置換タイリングはないのかとか。4次元はどうなのか。気になったら、調べて自分で描いてみましょう。新しい分類方法を考えてみましょう。
そうこうしているうちに、新大陸発見のように、誰も見たことのない、新しい模様が見つかるかもしれません!
予告:
by j344
| 2015-12-13 07:16
| 幾何学模様大図鑑