模様展示の標準化 その6
対称性p1に分類される模様である(着色は無視することにする)。それぞれのペガサスの体の部位で同じ個所、どこでもいいのだが、たとえば耳に注目する。
模様の周期性が少しだけ分かりやすくなる。もう少しくり返して、赤丸だけ抜き出せば、こんな感じである。
この赤丸を格子点と呼ぶことにしよう。ここで、くり返しの単位として、複雑なペガサスではなく、単純な形(基本平行四辺形)を選びたいのだけれど、じつはいろんな選び方が存在する。基本平行四辺形(さしあたり、格子点を頂点に持ち、内部や辺上には格子点を持たないような平行四辺形のことと思っておこう)は、たくさんある。
正方形以外については、わざと変な選び方をしたように見えるかもしれないけれど、一般の模様で考えるとそうでもない。どれがスタンダードな格子か、なかなか決めづらいのである。
たとえば、上のタイルを並べてみよう。
どれも並べていくうちに、ペガサスの姿が現れてくる。それぞれ、くりかえしの単位として問題なく使えてしまうのであった。基本平行四辺形は「基本」のくせにひと通りではなくて困ってしまうのだが、じつは面積については、よく調べるといい性質を持っていることが分かる。
この本のp33に「与えられた格子軍の基本平行四辺形の面積は、その取り方に依存せず一定である」という定理とその証明が載っている。有難いことに、我々の求める縮尺の標準化には、選び方は関係ないのであった。ともかく、どれでもいいので基本平行四辺形を選んでやって、その面積を標準化(たとえば1に)してしまえばいい訳である。
平行四辺形の面積は上図の場合、S=|ad-bc|で計算できる(どこかで見たような式だけど、実際に行列式とちょっと関係がある)。
さて、標準化の話、面積については、これにて一件落着。なのだが、前回危惧した通り、六角格子(正三角格子)について、縮尺を修正する必要が出てきた。面倒臭いがそのうち遡って修正して行こうと思う。
展示の標準化については、角度の標準化の話がまだ片付いていない。模様の例は豊富な方がよいと思うので、ただいま作りためております。しばらくお待ちください。