模様展示の標準化 その3

どのようにして、この縮尺を選んだのか。注目しなければならないのは、くり返しの単位(ユニット)の面積である。まず、それぞれの模様の中から、そのくり返しの単位を見つけてみよう。

ユニットの選び方は、必ずしも上の図の形に限らないのだが、たとえば、薄い赤色の図形をコピーして張り合わせて行けば、平面を隙間なく敷き詰められることが分かるだろう。このユニットの面積を揃えれば、縮尺が決まることになる。
いきなり面積を揃えるのは大変なので、先に辺の長さを1としたときの各ユニットの面積を求めてみよう。

これから、面積を揃えた時の辺の長さを逆算する。面積は縮尺の2乗に比例するから、よく考えると、次のようになる。

すなわち、この辺の長さが、求めようとしたところの縮尺であった。
じつは、これは「模様展示の標準化 その2」の(3)で、タイルの面積を揃えたことの自然な拡張になっている。正方格子、正三角形の格子、正六角形の格子のときには、タイル自身がユニットになっていた訳である。
なお、今回、ユニットの選び方として、ひとつの制限を設けていた。「平行移動だけで平面充填できるようなユニット」というのがそれである。この条件を緩めて、回転移動を構わないことにすると、#02のユニットは#01のユニットと同じ形にすることができる。そうすると縮尺の基準も変わってしまうのだが、どちらの基準がよいだろうか。
さて、今回はくり返し模様のとき、縮尺の基準をどう選ぶかの話だった。次回は、ペンローズタイルのように、模様がくり返さないときにどんな基準が考えられるか。それを検討してみたい。