幾何学模様のブログ みずすましの図工ノート

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息子と一緒に「ノージーのひらめき工房」を見ていて、ひらめきました。見ていたのは「紙のバネであそぼう!」の回。

紙のバネというのは、2本の紙テープを直交させて、交互にジグザグに折ると作ることができる古典的な折り紙です。作り方は、たとえば、こことかで見ることができます。
このバネ。上から見ると正方形です。ノージーを見ていたとき思いついたのはもしかすると、これの正六角形版とか正八角形版とかを作れるのではないか?」ということでした。そして、実際にやってみると……。

こんな感じにできてしまったのでした。しかも、動きが面白い。意外なことに、動き方が「スリンキー」とか「レインボースプリング」とか「トムボーイ」呼ばれるバネのおもちゃによく似ていて感動しました。

この記事では、この紙のバネ(正多角形版)の折り方をご紹介します。

折り方
まずは簡単な偶数角形の紙バネから始めましょう。好きな色の紙テープを数本、適当な長さに切っておきます。テープのふちは直角にカットしておいてください。

作りたい多角形を決めたら、次の図を見ながら、上手に紙テープを並べます。上手く並べられたら、動かないようにセロハンテープとかで止めてしまいましょう。このバネを折るとき一番難しいのはここだけ。ここさえクリアすれば、あとはとても簡単です。

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どれも折り方が同じなので、正六角形を例に説明します。次の図のように、一番下のテープを紙の角のところで上に折り返します。この折り目たちが正六角形のふちになっていきます。
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あとは、ひたすら、これを繰り返すだけです。最後、どれかの紙テープを使い切ったら、最初と同じようにセロハンテープとかで止めてしまいましょう。これで完成です。

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あと、正五角形とか正七角形とかの正奇数角形はどうなのかというと、最初こんなふうに並べてやると、作ることができます。

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ちょっと角度がややこしいですね。紙テープのふちも直角ではなくて、斜めにカットしてやる必要があります。並べる前に正多角形の型紙を作っておくと、角度の目安にすることができて便利だと思います。ちなみに、正三角形のバネは折れるには折れるのですが、あまり伸びない感じになります。なぜでしょう?

きれいにバネを作ることができたら、びょんびょん伸ばしたり、階段を下りていくのを観察したり、びっくり箱を作ったり、飛び出す絵本に仕掛けたり、輪っかにしてオーナメントを作ったり、クリスマスの飾りつけにしたり、いろんな風にして遊びましょう!

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おわりに
とても素朴なので、だれかが既に思いついていても不思議はないのですが、調べた限りではよく分かりませんでした。これは何とかさんの作品だよ、なんて、ご存知の方がいらっしゃいましたら、ぜひお知らせください。

あと、もし私が最初に思いついたものだったとしたら、いい感じの名前を付けたいと思っています。なにかよい名前を思いつかれた方は、こっそり教えて頂けると幸いです。どうぞよろしくお願いします。

# by j344 | 2018-11-20 18:29 | 折り紙
図形の合同がテーマの対戦パズルゲーム「ゴドマチ」を考案した2018年1月19日(金)から、約2か月。年度末の3月25日(日)に、また別の数学ゲームを考案しました。

ゲームの名前は「陣目取(じんめとり)」。囲碁や五目並べに似たゲームで「線対称」がテーマになっています。対称性を意味する英語「シンメトリー(symmetry)」をもじって名付けました(漢字表記はみらいけん数学デー常連Tさんの考案です)。

ルールはとても簡単なのですが、深い読み合いが要求されます。安易に攻めると守りが薄くなって大逆転されたりします。囲碁のセット「碁盤と碁石」、あるいは「方眼紙とペン」があればどこでも気軽に遊ぶことができる、楽しいゲームです。

3月27日(火)最終日を迎えた神保町の「みらいけん数学デー」で紹介したところ、いきなり大人気でした。早速ルールの解説用のリーフレットを作成しました。自由に印刷して配布していただいて構いません。ぜひ「陣目取(じんめとり)」をよろしくお願いいたします。

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なお「みらいけん数学デー」の後継は「ソノリテ数学デー」とのこと。遊びに来ると「ゴドマチ」や「陣目取(じんめとり)」が遊べるかも。こちらもよろしくお願いいたします。

# by j344 | 2018-04-04 00:10 | パズル
2018年1月19日(金)ひとつの数学ゲームを考案しました。ゲームタイトルは「ゴドマチ」。図形の分割を楽しむ、ターン制戦略パズルゲーム「合同を待ちながら」の略称です。ちょっとだけ石取りゲーム(ニム)に似ています。

ルールはとても簡単なのですが、深い読み合いが要求され、終盤一気に緊張感がアップ。方眼紙とペンがあればどこでも気軽に遊ぶことができる、楽しいゲームです。

神保町のみらい研究所で毎週火曜日に開催されている「みらいけん数学デー」の来場者を中心に人気を博しており、「第3回 日曜数学会 in 札幌」など、プレイヤーの輪が広がり始めています。これまでゲームを考案したことはなかったのですが、色々な人から色々なアイデアを頂き、お蔭様で一人前のゲームに育ちつつあります。

そこで、満を持して、ゲームルールと遊び方の公開に踏み切ることにしました。たくさんの方に遊んで、楽しんでいただけたらと思っています。

ルールの解説スライドはこちらです。


また、普及宣伝用にリーフレットも作成しました。自由に印刷して配布していただいて構いません。学校の休憩時間や、数学イベントの交流タイム、あるいは飲み会の席上などで、どうぞ遊んでみて下さい。ぜひ「ゴドマチ」をよろしくお願いいたします。

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ルール公開後、多くの反響を頂きました。Togetterにまとめています。


# by j344 | 2018-02-20 00:45 | パズル

X math puzzles

この記事は、日曜数学 Advent Calendar 2017の24日目の記事です。23日目は現在中学3年生(!)たけのこ赤軍さんのI Wanna Be Your Modularでした。

みなさんの入魂の記事、楽しく拝見しています。
24日の夜はクリスマスイブ。できれば何かロマンティックな話題をと思うのですが、私はとても短い話しかできません。思いついたばかりの数学パズルを紹介します(類題を見たことがなくオリジナルのつもりでいるのですが、先行研究をご存知の方は教えて下さい)。

■多角形Aが与えられたとします。多角形Xと多角形Aを重ねずに上手く並べると、Xと相似な図形(面積がXの2倍)を作ることが出来ました。さて、Xはどんな図形でしょう?

まずは、問題を理解するために次の例題(0)を見てみましょう。

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はい。これです。ちょっと考えると、こんな答えを思いつくことができます。

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どう答えになっているかというと、こんな感じに並べれば条件を満たしていることが確かめられる訳ですね。

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では、本題です。次の2問、ぜひ考えてみて下さい。

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答えが特にクリスマスっぽいかというと、そうでもないので、どうかそこは期待しないでくださいね(笑)。

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この形式のパズルは、第9回日曜数学会「図形パズルの足し算・掛け算・方程式」の延長の話題として考えることができます。

問題を作るのは簡単(適当な多角形からその相似形を削ればよい訳)ですが、思いついたばかりで検討が浅いため、よく分かっていないことがいくつかあります。
・これらの問題はユニーク解(答えがひとつしかない)でしょうか?
・設問の「面積がXの2倍」という条件は必要でしょうか?(ないと解の数が変わることもあるでしょうか?)
もし分かった方は、ぜひ私まで教えてください!

明日はついに2017年最後の記事。tsujimotterさんが「2017にまつわる話」を書かれるそうです。お楽しみに!





第2回プラチナブロガーコンテスト



# by j344 | 2017-12-24 00:00 | パズル
この記事は 日曜数学 Advent Calendar 2016 の21日目の記事です。昨日、20日目の記事はキグロさんの「√2が無理数であることの別証明」でした。
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1 はじめに

早いもので、昨年の日曜数学 Advent Calendar2015から1年が経ってしまいました*1。この1年間わたしは何をやっていたのだろう。

相変わらず、数学イベントには色々と参加しています。今年度4月から9月までの半年で36件のイベントに参加しました。年間72件ペース。昨年度の年間45件という記録を塗り替える勢いのハイペースです。日曜数学会では何を発表したのだったか。2016年に入ってからで数えるとウィア=フェラン構造の話とか、板東さんの夢のタイル張り定理の話とか、十字手裏剣の求積問題とか、1種類のタイルによる敷き詰め模様の話とか、スターンの二原子数列を聴く話とか、そんな色々を話して歩いた1年でした。楽しかったなあ。

それと、今年の3月末からパズル懇話会の幹事を務めています。パズル懇話会は数理パズルの愛好者の集まりです。会員のみなさんは色々な数理パズルの研究をして楽しく交流しています。数理パズルとは何か。説明が難しいところですが、パズル懇話会は英語名がAcademy of Recreational Mathematics, Japan。つまり「数理パズル≒レクリエーションの数学」と思うことにすると誤解が少ないのではないかと思います。

今日はそんなパズル懇話会の活動の一端を紹介してみたいと思います。テーマは裁ち合わせパズルの問題。正方形と正方形を合わせて正方形を作る問題です。

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2 パズル懇話会でのひとこま

裁ち合わせパズルとは、ある図形をいくつかの部分に分解して並べ替えることで(面積の等しい)別の図形を作るものです。詳しくはwikipediaをご覧ください。

2016年11月19日(土)パズル懇話会の例会で会長の小谷善行が次のような問題を紹介しました*2。

問題1 「正方形を合同な図形に4分割し、それをつないで、内部に正方形の穴がある大きい正方形を作る」次の4つのパターンがあると思う。これ以外見つからなかったが、あるだろうか。

解答例(数字は各正方形の辺の長さを表しています。左端の正方形が穴になります)

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どうなのだろう。あるのかな。ちょっと面白いなと思ったものの、そのまま忘れてしまいました。

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3 ハッカーズバーにて

2016年12月7日(水)六本木のハッカーズバーにパズル懇話会の面々が集まりました。このとき、先の問題が話題になりました。岩井さんはこんなアニメを作っていました。同じようなアニメを自分も昔作ったことがあったのを思い出しました。これがあの問題の解(4)になっているとは気づいていなかったのです。

会員の加藤さんがギザギザした解があるはずだと言いました。みんな半信半疑。でも、スマホで次のような図を見せてくれて、本当かもしれないと思いました。*3

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4 自分で描いてみた

帰宅後、自分でも図を描いて確かめてみました。本当だ。ちゃんと成り立っている!

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どうしてこんなことができるんだろう。不思議だなあ。他にはできるのないかしら。整数比に限るなら、どの正方形も平方数個の単位正方形を含んでいる訳だから、a^2+b^2=c^2みたいな等式が成り立つな。ピタゴラス数だと上手く行くかもしれない。(a,b,c)=(7,24,25)で試してみよう。

(試行錯誤)あ、できた。

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できるんだ。面白い。

ピタゴラス数は一般に、互いに素なm, n(ただし0 < n < m,m - n は奇数)を使って、(a, b, c) = (m^2 - n^2, 2mn, m^2 + n^2)という風に書けるけれど、m-n=1のとき上手く行くみたいだ。なるほどなあ。

一見ややこしそうだけど、図解するとこんな感じです。

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気になる人は、ちゃんと上手く行っているか確かめてみてください。こちらは、ギザギザ解が可能な、正方形の組合せ一覧です。

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5 許可を取る。調べる。

加藤さん、小谷さん。これ、わたしのブログで紹介してよいでしょうか。いいよ。ありがとうございます。

このとき加藤さんが新しいことを教えてくれました。この問題、小谷さんの出題で初めて知ったのではなく、1993年に解いていたそうなのです。それはCubism For Funという雑誌(通称CFF)の懸賞問題でした。CFFの31号"Holey Polygons"という記事でのAnton Hanegraafさんの出題。

問題2
(a) 次の(7)と(8)は5ピースで裁ち合わせできる。どうやればいいか。
(b) 特別な比率では5ピース未満の裁ち合わせを見つけることができるか?

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という訳で、加藤さんの解は、問題1と問題2(b)の題意をたまたま両方満たしていたわけですね。なお、ここでいう5ピースは(左の正方形を穴に見立てているので)灰色の部分の分割が何個になるかを言っています。また、小谷さんの問題と違って「各ピースが互いに合同であること」という制約はありません。

正三角形の問題(7)も気になりますね。

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6 そういえば、あの問題も。

なぜこの問題がこんなに気になったのか。じつはわたしが裁ち合わせの問題に取り組むのはこれが初めてではありません。むかしMINEさんとの共同研究でBoth Sides Nowというシリーズのパズルを発案したことがあったのです。別名、額縁ダイセクション。丸善『多角形百科』にわたしの書いた記事があります。

これがそうなのですが、今回の問題によく似ています。が、8ピース使っています。

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これらが最少のピース数かどうかはよく分からないのですが、相似比によって必要なピースの枚数が色々変るみたいで面白いなあと思います。とくに何の役に立つということもありませんが、色々調べたり遊んだりできて楽しかったです。パズル懇話会では日夜このようなやり取りが行われ、ときに白熱して、新しいパズルが生まれたりしています。

パズル懇話会にご興味のある方は、お気軽にお声かけください。例会へのゲスト参加が1回500円で可能です(ゲスト参加は2回までです)。

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予告:
日曜数学 Advent Calendar 2016 明日はcorollary2525さんの「長さ1の線分を一回転できる図形について」楽しみです!

*1 このブログのひとつ前の記事がその記事です。一年ぶりの更新となりました。

*2 小谷さんの許可を得て公開しています(パズル懇話会はクローズドな会です。会員のアイデア保護のため、発表者に無断で発表内容を公開することは禁止されています)。

*3 加藤さんの許可を得て公開しています。
# by j344 | 2016-12-21 23:09 | パズル

模様の分類の話



ご存知ない方に自己紹介。私は模様を愛する総務のおじさんです。パズル懇話会日本折紙学会の会員です。日曜数学会数学カフェに出没しています。今年、日本科学未来館で開催されたサイエンスアゴラでは 日曜数学100連発 に登壇し「幾何学模様の不思議な世界」と題して発表を行いました。

今日は模様の分類について書きます。美しい幾何学模様は眺めているだけで心が躍ります。世の中には模様の図鑑がいろいろあります。ただ、すこし不満なことがあります。多くの図鑑では歴史的・地理的な模様の分類が行われているのですが、模様そのものの持つ性質によって数学的に分類されていたら、もっと楽しいのにと私は思うのであります。

模様にはふた通りあります。周期的な模様(繰り返し模様)と、そうでない模様です。周期的な模様とは平行移動によって、自分自身と重ねることができるような模様のことをいいます。平面上の周期的な模様、いちばん普通の模様たちを分類するとどうなるでしょうか。
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周期的な模様

じつは対称性によって分類すると17種類になることが知られています。といっても、なかなかイメージがわかないと思いますので、この17種類、それぞれ1種類ずつ代表を並べてみます。
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パターン認識のためには豊富な例が必要です。過去の記事「模様展示の標準化 その4」「模様展示の標準化 その5」「模様展示の標準化 その7」「模様展示の標準化 その8」などで、この17種類の分類それぞれについて、たくさんの例を見ることができるので、ぜひご参照ください。

……といって例だけ見ていても、どこが違うのか分かりにくいと思いますので、分類の意味を解説しましょう。対称性による分類と書きましたが、対称性とは「ある変換に関して不変であるような性質」のことを言います。周期的な模様では「どんな合同変換に関して不変なのか」が分類の鍵になります。平面の合同変換は、平行移動、回転移動、鏡映の合成でできています。模様の分類では、じつは次の7種類の合同変換による対称性を考えれば充分です。
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この対称性のどれをどんな風に持っているかで、上記の分類は行われています。詳しい説明は、wikipediaに譲ることにしましょう。


周期的でない模様

一方、周期的でない模様(繰り返さない)には、ランダムなものや置換タイリングによるものがあります。
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ランダムな模様の例としては、たとえば、こんなのがあります。ドミノ(正方形をふたつくっつけてできる図形)によるタイリングですが、ところどころ向きの違うドミノをランダムに混ぜることができます。
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置換タイリング(Substitution tilings)については、Tilings Encyclopedia でたくさん例を見ることができます。このブログでも「ペンローズタイルの作り方」「レプタイル その1, その2」「Self-tiling tile setsについて」などで関連の記事を見ることができます。ここでは一例としてレプタイルである、L型トロミノによる置換タイリングを示します。
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レプタイルという特殊な図形は、いくつかの自分自身と相似なタイルに分割できるので、分割を繰り返すとどんどん細分できます。これを拡大すると、上手くすれば平面全体のタイリングが作れます。


平面以外の模様

さて、ここまで平面だけを考えてきましたが、平面の枠を超えると、また違った世界が広がってきます。複雑な曲面(球面双曲平面その他)上の模様もありますし、3次元以上の世界で模様を考えることもできます。
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周期的な模様の対称性による分類。2次元では17種類でしたが、3次元では230種類になるそうです。過去の記事で模様のアニメーションを紹介していますが、これらは3次元の周期的な模様(空間2次元+時間1次元)と考えることができるので、いずれも230種類のどれかに分類されるのだと思います。
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3次元の非周期的な模様も知られています。たとえば、佐藤郁郎さんのコラムを辿ると、色々な例を知ることができます。

さて。ここまでの話題だけでも、模様の世界の奥深さを垣間見ることができたのではないかと思います。知れば知るほど、いろいろな疑問が湧いてきます。曲面上の置換タイリングはないのかとか。4次元はどうなのか。気になったら、調べて自分で描いてみましょう。新しい分類方法を考えてみましょう。

そうこうしているうちに、新大陸発見のように、誰も見たことのない、新しい模様が見つかるかもしれません!


予告:
日曜数学 Advent Calendar 2015 明日は「matsumoring」さんの「今年の日曜数学活動」。楽しみです!

# by j344 | 2015-12-13 07:16 | 幾何学模様大図鑑
2015年7月29日にCasey Mannらによって発見された15番目の平面充填凸五角形(30年ぶりの新発見)について、以前ここで紹介した。このたび友人のニット作家、小倉美帆さんの力を借りて、これをモチーフにしたニット作品が完成したので、ご紹介したい。
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ジャーン。拡大すると、こんな感じである。正方形のパーツと正三角形のパーツが見える。
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じつは、小倉さんには、これまでもコラボ作品をいくつか作って頂いている。
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これらの図形シリーズは今月開催の作品展で見ることができるとのこと。ご興味ある方は、ぜひ!
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# by j344 | 2015-11-18 21:38 | 紹介

Self-tiling tile setsについて

標題のSelf-tiling tile setsはたとえば、こんなことができるピースのセットのことである。
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オランダのLee Sallowsさんが2012年に命名した。

ピースが沢山あると、拡大操作を反復して非周期的な模様を作ることが出来る。たとえば、こんな感じになる。
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今年、図形パズル研究所というチームで探索を行い、Lee Sallowsさんの発見分以外に21種類のSelf-tiling tile setsを発見した(私も3種類発見した)。このたび図形パズル研究所+秋山久義さんの許可を得て、パズル懇話会の会誌(こんわかい・NEWS Vol.37 No.4)より記事を転載する。詳細、次のリンクを参照頂きたい。

# by j344 | 2015-11-16 23:57 | パズル

ピタゴラスで正20面体

2歳の息子の誕生祝いに、知育玩具のピタゴラスを貰った。息子も遊ぶのだが父親(私)の方が熱中している。辺同士が磁石でくっつく板(正三角形・正方形・直角二等辺三角形・辺長2:2:1の二等辺三角形の板)が沢山あって、いろんな平面図形や立体を作ることができる。

正多面体の中では正4面体、立方体、正8面体が簡単に作れるのだが、正20面体は難しい。完全に組み上がるまで、形が決まらずふにゃふにゃと不安定だからだ。試行錯誤の末、その正20面体を上手に組む方法を見つけたので、この記事で紹介したい。

まず、正三角形の板だけで組もうとせずに、正方形の板5枚で作った台(右)を用意する。これに正三角形の板5枚で作った、へこんだ屋根(左)を乗せる。
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こんな感じになる。写真だと分かりづらいが、中央は少しくぼんでいる。
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これにギザギザと正三角形を乗せる。
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その隙間に逆向きの三角形を乗せていく。
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最後に上の屋根。もう少し。
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これで、天井が閉じた。
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台の正方形の板を1~2枚外して、手を入れる。
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持ち上げて、正方形の板を1枚ずつ外していく。
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完成!
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一度できてしまえば、安定しているので、まあまあ崩れにくい。これで正20面体があなたの手に。ぜひトライを!

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2015年9月23日(水)13:10追記

指摘を受け確認したところ、正三角形の板は1セットに14枚(穴あきのものを含めると16枚)しかありませんでした。正20面体を作るには2セット必要です。これから購入される方は、ご注意ください。

# by j344 | 2015-09-23 08:31 | 多面体
最近凸五角形タイリングで大発見があった。なんと15番目のタイリングType15がアメリカの大学のチームによって発見されたのだ。14番目を発見したのはドイツの大学院生ロルフ・シュタイン(1985年)だったそうで、今回のタイリングは、じつに30年ぶりの新発見である。

Twitterなどでも話題騒然なのだが、ぱっと見、五角形の特徴が分かりにくいので、補助線を引いてみた。
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正方形と正六角形の半分が基礎になっている。敷き詰めてみると、こんな感じだ。
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けっこう雰囲気が変わる。編み物に応用したらどうかしらと、いま友人のニット作家の方といろいろ相談しているところ。ちなみに、この繋がり方だと自由度はゼロなので、これまで「凸五角形タイリング その1 」や「凸五角形タイリング その2 」で試みたような、どの瞬間も平面充填になっているようなアニメーションは作れない。

30年ぶりの新発見。これで打ち止めとは思いにくい。更なる新発見の序章となるか、ニュースの今後に注目して行きたい。

# by j344 | 2015-08-03 01:01 | 幾何学模様大図鑑
いわいまさかさんとのコラボ。凸五角形アニメのその2である。

既にいわいさんのブログ

で詳しく取り上げられている。凸五角形アニメと言いながら、
じつは途中で凹んだ五角形になったり四角形になったりする。

こんなのや
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こんなのだ。
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分類上は、知られている14種類のうちのtype13に属する五角形である。後の方のアニメは途中で形がするするっと切り替わって騙されたような気がする。過去にも書いたことがあるが、こういう動きを見るとゲシュタルト心理学で言うところのタルト心理学#.E3.83.97.E3.83.AC.E3.82.B0.E3.83.8A.E3.83.B3.E3.83.84.E3.81.AE.E6.B3.95.E5.89.87">プレグナンツの法則を思い出す。

# by j344 | 2015-05-27 14:06 | 幾何学模様大図鑑
いわいまさか さんとのコラボ。今回も幾何学アニメだが、テーマはフラクタルから離れる。合同な凸五角形による平面充填である。

平面充填できる凸五角形には少なくとも14種類のタイプがあるらしい。http://katachi-jp.com/paper/26(2).pdfの4ページ目に記載がある。この14タイプの内、自由度がちょうど1の(パラメータ1つで描ける)ものは、9種類。この9種類は、パラメータを時間とともに変化させることで、自然にアニメーションにすることができる。ということで、いわいさんの力を借りてトライしてみたのが、Type3とType10のアニメ化である。ちなみに役割分担は、私が個々の五角形の座標計算を主に担当し、あとはいわいさんの方で形にしてもらった。
これがType3で
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これがType10
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静止したところでは、五角形ではなくて四角形になってしまっている(退化している)。Youtubeはこちら。
Type3 
Type10
Type10面積一定版

この他のタイプを自由度(アニメ向きかどうか)で分類すると、
自由度5× type1
自由度4× type2
自由度2△ type4
     type5
自由度1 type6
     type7
     type8
     type9
自由度1type3
     type10
     type11
     type12
     type13
自由度0× type14

こんな感じである。自由度1を◎と○に分けたのは、〇の4種類の計算にはarctan(タンジェントの逆関数)が出てきて、場合分けが面倒くさいので減点してみた。

さて。とりあえず、アニメができてよかったバンザイと喜んだのもつかの間。
https://www.youtube.com/watch?v=7G9dcEBXYY8
http://demonstrations.wolfram.com/PentagonTilings/
2009年にはこのような取り組みが、Ed Pegg, Jr. さんによって、すでに行われていたことを見つけてしまった。ただのアニメではなくて、インタラクティブな遊び方ができるので、ぜひ遊んでみてほしい。
さて、そうなると、これから何をするか。とりあえず、Type間の共通部分について調べてみたいと思っている。たとえば、Cairo pentagonal tilingはいくつかのTypeに重複して登場する。

それと、Ed Pegg, Jr.さんのツールでは除外されているけれど、パラメータを限界以上に変化させると凹五角形による平面充填ができる場合がある。落穂ひろいみたいな感じだが、この辺りをアニメ化してみても面白いかもしれない。

とりあえず、今日はここまで。

# by j344 | 2015-05-14 00:05 | 幾何学模様大図鑑
先日、中川宏さんの積み木インテリアギャラリーに訪問した際、お土産に正五角形の板をたくさん頂いた。
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さてどうやって遊ぼうかしらと、よく思案もしないままパズル懇話会で紹介したところ、いわいまさかさんから、ぐるぐる巻いてはどうかと提案があった。それは面白そうだ。という訳で、やってみた。
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こんな感じで、同じ向きにぐるぐる巻きにしていく。正五角形同士は辺で繋ぎ、既に置いた正五角形の板に重ならないように、なるべく密に充填していく。これを続けていくとどんな形ができるだろう。

少し世代を進めると、こんな感じになる。何かパターンが見えるだろうか。
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隙間のひし形に注目する。向きに注意して、色を付けてみるとこんな感じ。
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どうも、横一列に並ぶ紫色のひし形を除けば、ひし形の向きは同じみたいだ。なんだか、対称性もある気がする。一周巻くごとに薄く色を付けてみよう。
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するとこんな感じになる。色付けした個所の形、ぼんやり眺めると六角形に見える(平行六辺形というのだろうか。もちろんよく見ると辺に相当する部分がギザギザしているので六角形ではないのだが)。巻く回数を増やすと、この六角形っぽい領域が、だんだん太くなっていくようだ。始めの方は不規則に見えたけれど、けっこう規則的である。

さて、そもそものきっかけ。頂いた正五角形の板から離れるが、これが正七角形だとどうなるだろう。
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最初のうちはこんな感じである。正五角形のときより不穏な感じがする。これを続けると、はたして。
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こうなる。が、いまいち規則性が見えない。この先どうなっていくのだろう。分かった人は教えてほしい。
# by j344 | 2015-04-26 15:41 | スケッチ
いわいまさかさんとのコラボ。フラクタルアニメのみっつめ。
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このところ幾何学模様に関係なさそうな記事が続いたが、ようやく模様に戻ってきた。幾何学模様のブログ、面目躍如である。よく見ると、どの瞬間も二種類のタイル(4回対称のタイルと、サイズこそ違うものの同じ形の2回対称のタイル)で出来ている。YouTubeで、ときどき一時停止して確認してみて欲しい。

これは、一般化されたコッホ曲線を、ある動く壁紙のパターンに貼りつけたものである。これが一般化されたコッホ曲線。



パラメーターの角度θが45度のとき空間充填曲線 になる(フラクタル次元 は2次元)。いわいさんのブログにも解説記事がある。

これを、このタイプの動く壁紙に上手く貼りつけると、最初のアニメができる。


# by j344 | 2014-11-24 15:33 | 動く壁紙
いわいまさかさんとのコラボ。フラクタルアニメのみっつめ。
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これまでのフラクタルアニメその1その2の正方形ベースから離れて、シェルピンスキーのギャスケットがモチーフのアニメである。

シェルピンスキーのギャスケットは、ふつう3つの相似変換(相似縮小)を使って作るのだけれど、見ようによっては、こんなふうに5つの相似変換でできていると思うこともできる(ひとつの色がひとつの相似変換に対応)。



3つでできるところを、わざわざ5つ使うところがポイント。詳しくは説明しないけれど、じつは3つで回すとシェルピンスキーのギャスケットが形を変えずに単に回転するだけになってしまうのである。

続けてみても面白い。



ちなみに、いわいさんにお願いした時の元ネタは、こんなざっくりした絵だった。これが、ああなる。いわいさんに感謝。

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描画には、カオスゲームという点描的な方法を使っている。点をひとつずつ描画する過程で確率的な選択が必要なのだけど、うまく確率を設定しないと点描に粗密のムラができる。今回の個人的な収穫は、確率の設定にフラクタル次元が関係する、ということが分かったことだった。

以下はマニア向けだが、念のため書いておきたい。

****************

IFSを構成する相似縮小の縮小率をa1,a2,…,anとするとき、
a1^d+a2^d+...+an^d=1 となるdを、
そのIFSで定められる自己相似集合Fの次元と呼ぶことにする。

このとき、カオスゲームの確率を
a1^d,a2^d,...,an^dとすると、粗密のムラが起きない。


# by j344 | 2014-11-05 00:18 | 動く壁紙
いわいまさかさんとのコラボ。フラクタルアニメのふたつめ。


自分自身のミニチュアが4つあって、その縮小率が0~0.5まで変化していく。縮小率0.5のとき、中身の詰まった正方形になる。そこから白黒反転して続くのは、いわいさんの案。

さて。このアニメ、見方によっては自分自身のミニチュアが16個あると思うこともできる。ミニチュア4個が第一世代だと考えれば、第二世代が16個ある訳だ。縮小率を変えていく途中で、ミニチュアの個数を16個から4個に減らしたら、循環するアニメができるのではないかしら。

これは面白そうだと、ひとりで盛り上がった。そこで、いわいさんにお願いして作ってもらったのが次のアニメ。



なのだけれど、いわいさんの評は「どうなるんだろうな~と注目してると消えますw」。私の感想も「線香花火の風情ですねえ。もののあはれ」ということで、いささか企画倒れになってしまった。

フラクタルアニメのその1もその2も、じつは背景に「フラクタル図形(自己相似集合)同士の包含関係への興味」がある。どんな順序構造があって、どう遊べるのか。

きっと、これだけだとまだ伝わりにくい。コラボレーションは続きます。

# by j344 | 2014-11-02 00:01 | 動く壁紙
友人のいわいまさかさんにお願いして、幾何学アニメを形にしてもらいました。フラクタル図形が踊ります。
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元の記事(いわいさんのブログ)ではアプリが公開されています。

コラボは続きます。乞う、ご期待!

# by j344 | 2014-10-09 23:36 | 動く壁紙

くるくる回る白いドット

最近、GIZMODOの「このくるくる回る白いドット、実は真っ直ぐ往復してるだけなんだぜ」という記事をTwitter他で紹介した。"Crazy Circle Illusion! "という、ふた通りの解釈ができるアニメーションの紹介記事である。

すると、友人の宮本尚さんから「これは、それぞれのドットの動くタイミングを変えるとどうなるんですか?」という質問があった。少し考えて「白いドットでできた図形が変形して行くのではないかと思います」と答えたのだが、そのときはどんなふうに変形するのかまでは想像が及ばなかった。今日は実際にアニメーションを作ってみたので、それをご紹介したい。

ひとつの白いドットの移動速度に注目すると、もともとの動画は速くなったり遅くなったりしている。大きな円の中心付近では速く、円周付近では遅い。まず考えたのは、この白いドットの移動速度を等速にしたらどうなるかということである。やってみたのが次のgifアニメ。
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確かに変形している。補助線を引くとこんな感じになる。
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それぞれの白いドットが等速で直線上を往復しているのが分かる。

さて、白いドットでできた図形。円は等速の往復運動で変形したが、等速の往復運動で変形しないような図形もある。どんな図形だろう。

たとえば、こんなのが考えられる。
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回転しているように見える。これも補助線を引いてみよう。
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中心付近がごちゃごちゃするが、直線上の等速往復運動である。

他にもタイミングを変える方法は色々考えられるが、まだトライしていない。いずれにしても、白いドットでできた図形の形が変わらないのは、なかなか稀なことのような気がする。

# by j344 | 2014-07-27 17:15 | 数学

黄金比の拡張について

黄金比の一般化としては、たとえば貴金属比というのが知られている(白銀比青銅比など)。でも、ここで考えたいのは、別の方向への拡張だ。

黄金比は正5角形と関係が深い。正7角形や正9角形、一般の正n角形で黄金比に相当するものは何だろうか。この辺りのことがわかると、ペンローズタイルの拡張を考えるのに役立ちそうだ。少し難しいけれど、やってみよう(なお、ペンローズタイルをご存知ない方は、過去の記事「ペンローズタイルの作り方」を参照頂きたい)。

まず、おさらい。正5角形に対角線を引くと、2種類の二等辺三角形ができる。
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各二等辺三角形を、拡大縮小。等辺の長さをぜんぶ1に揃えてみる。
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このとき、底辺の長さに黄金数φ=1.618…が登場する。左の三角形の底辺がφ、右の三角形の底辺が1/φ=φ-1である。正5角形を並べたり、対角線を分割したりすると、いろんなところにφに関係した長さが登場する。 黄金比の性質、さまざまな関係式については、wikipediaを参照してほしい。


さて拡張。正多角形を考える。ここでは、正11角形を例として考えよう。対角線を引くと、たくさんの二等辺三角形ができる。次の5種類の二等辺三角形に注目する。
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各二等辺三角形を、拡大縮小。等辺の長さを1に揃えてみる。
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これらの三角形の底辺の長さを、左からそれぞれb1~b5とする。

このとき、次のような関係式が成り立つ。

(1) b1b2b3b4b5=1
(2) b1-b2+b3-b4+b5=1
(3) b1b2=b3+b1
(4) b2b3=b5+b1

(1)(2)は美しいが、(3)(4)はよく分からない。でも、掛け算が変な足し算になったりしていて面白い。端数が出てこずにb1~b5だけで書けるのも不思議だ。乗積表(もどき)を作っておくと法則性が見えるかもしれない。
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どう証明するか。1の22乗根を使うと上手く計算ができる。

なぜ突然1の22乗根が出てくるのか。正n角形と1のn乗根には深い関係があって、zn=1の根は複素平面上で単位円をn等分する。次の図を見ると、b1~b5が1の22乗根で表せそうな気がしてくる。
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という訳で、z=e(π/11)i=cos(π/11)+i sin(π/11)とおくと、b1~b5は次のように書ける。
b1=z-z10
b2=z2-z9
b3=z3-z8
b4=z4-z7
b5=z5-z6

これで準備が整った。複素数の計算に慣れていないと分かりにくいかもしれないけれど、あとは、
z11=-1と
z10-z9+z8-z7+z6-z5+z4-z3+z2-z+1=0
に注意して計算すればよい。ひとつやってみると、こんな感じだ。

b1b2=(z-z10)(z2-z9)
   =z3-z10-z12+z19
   =z3-z10+z-z8
   =(z3-z8)+(z-z10)
   =b3+b1

ところで黄金比はどこへ行ったのか。じつは先ほどの(1)と(2)が黄金比の持っていた性質の自然な拡張になっている。正5角形にもどってみると、ふたつの底辺の掛け算φ(1/φ)=1に相当する性質が(1)で、ふたつの底辺の引き算φ-(1/φ)=φ-(φ-1)=1に相当する性質が(2)だ、というふうに見ることができる。また、φ11=b1とおくことにして先ほどの関係式を駆使すると、b2~b5をφ11で表すことができる。面倒なので書かないが、興味のある方は計算してみてほしい。この辺りも黄金数φに似た性質ということができるだろう。

最後に、ペンローズタイルの拡張との関係。最初の5種類の二等辺三角形。底辺のところに鏡を置くと、ひし形が5種類できる。
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これをたとえばこんな風に並べることができる。
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上手く並べると、きっとペンローズタイルの正11角形版ができる。しかし、まだその並べ方を見つけていない。並べ方の分析には、きっと辺の長さや面積の計算が必要だ。その計算には今回検討した、黄金比の拡張を使うことができる。

今回は触れなかったが、各二等辺三角形の面積についても綺麗な表示ができて、なかなか美しい関係式がある。これはまたの機会にまとめようと思う。

正7角形や正9角形でも、正11角形で議論したことの類似が成り立つ。nが合成数か素数かなどによっても、いろいろ様子が違ってくるみたいだが、拡張の基本はこんな感じで行けるのではないかと思う。

# by j344 | 2014-07-10 00:32 | 数学
折り紙でペンローズタイルを作る試みにはいくつか前例がある。

ロバート・J・ラングさんのペンタジア(平面に正投影するとペンローズタイルになるユニット折り紙)

などである。

一方、ペンローズタイル自体を折紙作品の展開図だと思って折ってやると、何ができるだろう。もちろん、そのまま(ひし形のタイルのまま)では上手く折れないので折り線を足す必要がある。試行錯誤。トライしてみると、案外きれいに折れて面白かった。
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前例がないかどうか、三谷純さんに聞いてみたら「聞いたことがないですので、面白い試みですね」とのお返事を頂き、これは有望かもしれないぞと嬉しくなってしまった。折る前の原紙はこれである。
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どういう経緯でこれを思いついたのか。私の所属するパズル懇話会の会誌の編集を今回仰せつかったのだが、この会誌、モノクロ印刷である。表紙に使えるいい模様はないかと、過去のブログ記事を読み返していたら「ペンローズタイルの作り方」の途中段階、二等辺三角形タイリングの状態が二色で塗り分けできることに気が付いた。

ここで、ふと折り紙の「二色定理」を思い出した(平坦に折り畳める折り目で区切られた領域は、二色で塗り分けが可能である)。川崎定理 の条件も満たしているみたいだ。逆は必ずしも真ならずではあるのだが、何だかこれは折れるのではないか。折ってみよう。試しに折ってみたら、できてしまった。という訳で、もしも会誌がフルカラーであったなら、おそらく今回の発見はなかったのである(平坦折りについての解説は、三谷純さんの折り紙研究ノートをご参照頂きたい)。

山折り谷折りは試行錯誤で決めたので、分析が行き届いておらず、どこが山でどこが谷かを描き込んだ展開図はまだ作っていない。たぶん、前川定理の条件(平坦折りの頂点に集まる「山折り」と「谷折り」の数の差は±2)も満たしているとは思うのだが、大局的には平坦に折り畳めないらしい。

他の非周期模様(たとえば、Danzer's 7-fold variant)や、もっと大きなサイズのペンローズタイルが上手く折れるかどうか。これも気になるところである。
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とりあえず、今日はここまで。

# by j344 | 2014-05-22 23:40 | 折り紙

幾何学模様について研究するブログです。幾何学模様大図鑑の制作を目指しています。


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