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模様の分類の話



ご存知ない方に自己紹介。私は模様を愛する総務のおじさんです。パズル懇話会日本折紙学会の会員です。日曜数学会数学カフェに出没しています。今年、日本科学未来館で開催されたサイエンスアゴラでは 日曜数学100連発 に登壇し「幾何学模様の不思議な世界」と題して発表を行いました。

今日は模様の分類について書きます。美しい幾何学模様は眺めているだけで心が躍ります。世の中には模様の図鑑がいろいろあります。ただ、すこし不満なことがあります。多くの図鑑では歴史的・地理的な模様の分類が行われているのですが、模様そのものの持つ性質によって数学的に分類されていたら、もっと楽しいのにと私は思うのであります。

模様にはふた通りあります。周期的な模様(繰り返し模様)と、そうでない模様です。周期的な模様とは平行移動によって、自分自身と重ねることができるような模様のことをいいます。平面上の周期的な模様、いちばん普通の模様たちを分類するとどうなるでしょうか。
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周期的な模様

じつは対称性によって分類すると17種類になることが知られています。といっても、なかなかイメージがわかないと思いますので、この17種類、それぞれ1種類ずつ代表を並べてみます。
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パターン認識のためには豊富な例が必要です。過去の記事「模様展示の標準化 その4」「模様展示の標準化 その5」「模様展示の標準化 その7」「模様展示の標準化 その8」などで、この17種類の分類それぞれについて、たくさんの例を見ることができるので、ぜひご参照ください。

……といって例だけ見ていても、どこが違うのか分かりにくいと思いますので、分類の意味を解説しましょう。対称性による分類と書きましたが、対称性とは「ある変換に関して不変であるような性質」のことを言います。周期的な模様では「どんな合同変換に関して不変なのか」が分類の鍵になります。平面の合同変換は、平行移動、回転移動、鏡映の合成でできています。模様の分類では、じつは次の7種類の合同変換による対称性を考えれば充分です。
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この対称性のどれをどんな風に持っているかで、上記の分類は行われています。詳しい説明は、wikipediaに譲ることにしましょう。


周期的でない模様

一方、周期的でない模様(繰り返さない)には、ランダムなものや置換タイリングによるものがあります。
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ランダムな模様の例としては、たとえば、こんなのがあります。ドミノ(正方形をふたつくっつけてできる図形)によるタイリングですが、ところどころ向きの違うドミノをランダムに混ぜることができます。
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置換タイリング(Substitution tilings)については、Tilings Encyclopedia でたくさん例を見ることができます。このブログでも「ペンローズタイルの作り方」「レプタイル その1, その2」「Self-tiling tile setsについて」などで関連の記事を見ることができます。ここでは一例としてレプタイルである、L型トロミノによる置換タイリングを示します。
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レプタイルという特殊な図形は、いくつかの自分自身と相似なタイルに分割できるので、分割を繰り返すとどんどん細分できます。これを拡大すると、上手くすれば平面全体のタイリングが作れます。


平面以外の模様

さて、ここまで平面だけを考えてきましたが、平面の枠を超えると、また違った世界が広がってきます。複雑な曲面(球面双曲平面その他)上の模様もありますし、3次元以上の世界で模様を考えることもできます。
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周期的な模様の対称性による分類。2次元では17種類でしたが、3次元では230種類になるそうです。過去の記事で模様のアニメーションを紹介していますが、これらは3次元の周期的な模様(空間2次元+時間1次元)と考えることができるので、いずれも230種類のどれかに分類されるのだと思います。
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3次元の非周期的な模様も知られています。たとえば、佐藤郁郎さんのコラムを辿ると、色々な例を知ることができます。

さて。ここまでの話題だけでも、模様の世界の奥深さを垣間見ることができたのではないかと思います。知れば知るほど、いろいろな疑問が湧いてきます。曲面上の置換タイリングはないのかとか。4次元はどうなのか。気になったら、調べて自分で描いてみましょう。新しい分類方法を考えてみましょう。

そうこうしているうちに、新大陸発見のように、誰も見たことのない、新しい模様が見つかるかもしれません!


予告:
日曜数学 Advent Calendar 2015 明日は「matsumoring」さんの「今年の日曜数学活動」。楽しみです!

# by j344 | 2015-12-13 07:16 | 幾何学模様大図鑑 | Trackback | Comments(0)

新発見の平面充填凸五角形をニット作品に

2015年7月29日にCasey Mannらによって発見された15番目の平面充填凸五角形(30年ぶりの新発見)について、以前ここで紹介した。このたび友人のニット作家、小倉美帆さんの力を借りて、これをモチーフにしたニット作品が完成したので、ご紹介したい。
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ジャーン。拡大すると、こんな感じである。正方形のパーツと正三角形のパーツが見える。
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じつは、小倉さんには、これまでもコラボ作品をいくつか作って頂いている。
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これらの図形シリーズは今月開催の作品展で見ることができるとのこと。ご興味ある方は、ぜひ!
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# by j344 | 2015-11-18 21:38 | 紹介 | Trackback | Comments(0)

Self-tiling tile setsについて

標題のSelf-tiling tile setsはたとえば、こんなことができるピースのセットのことである。
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オランダのLee Sallowsさんが2012年に命名した。

ピースが沢山あると、拡大操作を反復して非周期的な模様を作ることが出来る。たとえば、こんな感じになる。
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今年、図形パズル研究所というチームで探索を行い、Lee Sallowsさんの発見分以外に21種類のSelf-tiling tile setsを発見した(私も3種類発見した)。このたび図形パズル研究所+秋山久義さんの許可を得て、パズル懇話会の会誌(こんわかい・NEWS Vol.37 No.4)より記事を転載する。詳細、次のリンクを参照頂きたい。

# by j344 | 2015-11-16 23:57 | パズル | Trackback | Comments(1)

ピタゴラスで正20面体

2歳の息子の誕生祝いに、知育玩具のピタゴラスを貰った。息子も遊ぶのだが父親(私)の方が熱中している。辺同士が磁石でくっつく板(正三角形・正方形・直角二等辺三角形・辺長2:2:1の二等辺三角形の板)が沢山あって、いろんな平面図形や立体を作ることができる。

正多面体の中では正4面体、立方体、正8面体が簡単に作れるのだが、正20面体は難しい。完全に組み上がるまで、形が決まらずふにゃふにゃと不安定だからだ。試行錯誤の末、その正20面体を上手に組む方法を見つけたので、この記事で紹介したい。

まず、正三角形の板だけで組もうとせずに、正方形の板5枚で作った台(右)を用意する。これに正三角形の板5枚で作った、へこんだ屋根(左)を乗せる。
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こんな感じになる。写真だと分かりづらいが、中央は少しくぼんでいる。
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これにギザギザと正三角形を乗せる。
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その隙間に逆向きの三角形を乗せていく。
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最後に上の屋根。もう少し。
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これで、天井が閉じた。
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台の正方形の板を1~2枚外して、手を入れる。
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持ち上げて、正方形の板を1枚ずつ外していく。
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完成!
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一度できてしまえば、安定しているので、まあまあ崩れにくい。これで正20面体があなたの手に。ぜひトライを!

************************
2015年9月23日(水)13:10追記

指摘を受け確認したところ、正三角形の板は1セットに14枚(穴あきのものを含めると16枚)しかありませんでした。正20面体を作るには2セット必要です。これから購入される方は、ご注意ください。

# by j344 | 2015-09-23 08:31 | 多面体 | Trackback | Comments(0)

凸五角形タイリング その3

最近凸五角形タイリングで大発見があった。なんと15番目のタイリングType15がアメリカの大学のチームによって発見されたのだ。14番目を発見したのはドイツの大学院生ロルフ・シュタイン(1985年)だったそうで、今回のタイリングは、じつに30年ぶりの新発見である。

Twitterなどでも話題騒然なのだが、ぱっと見、五角形の特徴が分かりにくいので、補助線を引いてみた。
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正方形と正六角形の半分が基礎になっている。敷き詰めてみると、こんな感じだ。
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けっこう雰囲気が変わる。編み物に応用したらどうかしらと、いま友人のニット作家の方といろいろ相談しているところ。ちなみに、この繋がり方だと自由度はゼロなので、これまで「凸五角形タイリング その1 」や「凸五角形タイリング その2 」で試みたような、どの瞬間も平面充填になっているようなアニメーションは作れない。

30年ぶりの新発見。これで打ち止めとは思いにくい。更なる新発見の序章となるか、ニュースの今後に注目して行きたい。

# by j344 | 2015-08-03 01:01 | 幾何学模様大図鑑 | Trackback | Comments(0)

凸五角形タイリング その2

いわいまさかさんとのコラボ。凸五角形アニメのその2である。

既にいわいさんのブログ

で詳しく取り上げられている。凸五角形アニメと言いながら、
じつは途中で凹んだ五角形になったり四角形になったりする。

こんなのや
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こんなのだ。
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分類上は、知られている14種類のうちのtype13に属する五角形である。後の方のアニメは途中で形がするするっと切り替わって騙されたような気がする。過去にも書いたことがあるが、こういう動きを見るとゲシュタルト心理学で言うところのプレグナンツの法則を思い出す。

# by j344 | 2015-05-27 14:06 | 幾何学模様大図鑑 | Trackback | Comments(0)

凸五角形タイリング その1

いわいまさか さんとのコラボ。今回も幾何学アニメだが、テーマはフラクタルから離れる。合同な凸五角形による平面充填である。

平面充填できる凸五角形には少なくとも14種類のタイプがあるらしい。http://katachi-jp.com/paper/26(2).pdfの4ページ目に記載がある。この14タイプの内、自由度がちょうど1の(パラメータ1つで描ける)ものは、9種類。この9種類は、パラメータを時間とともに変化させることで、自然にアニメーションにすることができる。ということで、いわいさんの力を借りてトライしてみたのが、Type3とType10のアニメ化である。ちなみに役割分担は、私が個々の五角形の座標計算を主に担当し、あとはいわいさんの方で形にしてもらった。
これがType3で
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これがType10
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静止したところでは、五角形ではなくて四角形になってしまっている(退化している)。Youtubeはこちら。
Type3 
Type10
Type10面積一定版

この他のタイプを自由度(アニメ向きかどうか)で分類すると、
自由度5× type1
自由度4× type2
自由度2△ type4
     type5
自由度1 type6
     type7
     type8
     type9
自由度1type3
     type10
     type11
     type12
     type13
自由度0× type14

こんな感じである。自由度1を◎と○に分けたのは、〇の4種類の計算にはarctan(タンジェントの逆関数)が出てきて、場合分けが面倒くさいので減点してみた。

さて。とりあえず、アニメができてよかったバンザイと喜んだのもつかの間。
https://www.youtube.com/watch?v=7G9dcEBXYY8
http://demonstrations.wolfram.com/PentagonTilings/
2009年にはこのような取り組みが、Ed Pegg, Jr. さんによって、すでに行われていたことを見つけてしまった。ただのアニメではなくて、インタラクティブな遊び方ができるので、ぜひ遊んでみてほしい。
さて、そうなると、これから何をするか。とりあえず、Type間の共通部分について調べてみたいと思っている。たとえば、Cairo pentagonal tilingはいくつかのTypeに重複して登場する。

それと、Ed Pegg, Jr.さんのツールでは除外されているけれど、パラメータを限界以上に変化させると凹五角形による平面充填ができる場合がある。落穂ひろいみたいな感じだが、この辺りをアニメ化してみても面白いかもしれない。

とりあえず、今日はここまで。

# by j344 | 2015-05-14 00:05 | 幾何学模様大図鑑 | Trackback | Comments(1)

正五角形ぐるぐると正七角形ぐるぐる

先日、中川宏さんの積み木インテリアギャラリーに訪問した際、お土産に正五角形の板をたくさん頂いた。
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さてどうやって遊ぼうかしらと、よく思案もしないままパズル懇話会で紹介したところ、いわいまさかさんから、ぐるぐる巻いてはどうかと提案があった。それは面白そうだ。という訳で、やってみた。
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こんな感じで、同じ向きにぐるぐる巻きにしていく。正五角形同士は辺で繋ぎ、既に置いた正五角形の板に重ならないように、なるべく密に充填していく。これを続けていくとどんな形ができるだろう。

少し世代を進めると、こんな感じになる。何かパターンが見えるだろうか。
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隙間のひし形に注目する。向きに注意して、色を付けてみるとこんな感じ。
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どうも、横一列に並ぶ紫色のひし形を除けば、ひし形の向きは同じみたいだ。なんだか、対称性もある気がする。一周巻くごとに薄く色を付けてみよう。
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するとこんな感じになる。色付けした個所の形、ぼんやり眺めると六角形に見える(平行六辺形というのだろうか。もちろんよく見ると辺に相当する部分がギザギザしているので六角形ではないのだが)。巻く回数を増やすと、この六角形っぽい領域が、だんだん太くなっていくようだ。始めの方は不規則に見えたけれど、けっこう規則的である。

さて、そもそものきっかけ。頂いた正五角形の板から離れるが、これが正七角形だとどうなるだろう。
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最初のうちはこんな感じである。正五角形のときより不穏な感じがする。これを続けると、はたして。
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こうなる。が、いまいち規則性が見えない。この先どうなっていくのだろう。分かった人は教えてほしい。
# by j344 | 2015-04-26 15:41 | スケッチ | Trackback | Comments(1)

フラクタルアニメ その4

いわいまさかさんとのコラボ。フラクタルアニメのみっつめ。
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このところ幾何学模様に関係なさそうな記事が続いたが、ようやく模様に戻ってきた。幾何学模様のブログ、面目躍如である。よく見ると、どの瞬間も二種類のタイル(4回対称のタイルと、サイズこそ違うものの同じ形の2回対称のタイル)で出来ている。YouTubeで、ときどき一時停止して確認してみて欲しい。

これは、一般化されたコッホ曲線を、ある動く壁紙のパターンに貼りつけたものである。これが一般化されたコッホ曲線。



パラメーターの角度θが45度のとき空間充填曲線 になる(フラクタル次元 は2次元)。いわいさんのブログにも解説記事がある。

これを、このタイプの動く壁紙に上手く貼りつけると、最初のアニメができる。


# by j344 | 2014-11-24 15:33 | 動く壁紙 | Trackback | Comments(1)

フラクタルアニメ その3

いわいまさかさんとのコラボ。フラクタルアニメのみっつめ。
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これまでのフラクタルアニメその1その2の正方形ベースから離れて、シェルピンスキーのギャスケットがモチーフのアニメである。

シェルピンスキーのギャスケットは、ふつう3つの相似変換(相似縮小)を使って作るのだけれど、見ようによっては、こんなふうに5つの相似変換でできていると思うこともできる(ひとつの色がひとつの相似変換に対応)。



3つでできるところを、わざわざ5つ使うところがポイント。詳しくは説明しないけれど、じつは3つで回すとシェルピンスキーのギャスケットが形を変えずに単に回転するだけになってしまうのである。

続けてみても面白い。



ちなみに、いわいさんにお願いした時の元ネタは、こんなざっくりした絵だった。これが、ああなる。いわいさんに感謝。

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描画には、カオスゲームという点描的な方法を使っている。点をひとつずつ描画する過程で確率的な選択が必要なのだけど、うまく確率を設定しないと点描に粗密のムラができる。今回の個人的な収穫は、確率の設定にフラクタル次元が関係する、ということが分かったことだった。

以下はマニア向けだが、念のため書いておきたい。

****************

IFSを構成する相似縮小の縮小率をa1,a2,…,anとするとき、
a1^d+a2^d+...+an^d=1 となるdを、
そのIFSで定められる自己相似集合Fの次元と呼ぶことにする。

このとき、カオスゲームの確率を
a1^d,a2^d,...,an^dとすると、粗密のムラが起きない。


# by j344 | 2014-11-05 00:18 | 動く壁紙 | Trackback | Comments(0)

フラクタルアニメ その2

いわいまさかさんとのコラボ。フラクタルアニメのふたつめ。


自分自身のミニチュアが4つあって、その縮小率が0~0.5まで変化していく。縮小率0.5のとき、中身の詰まった正方形になる。そこから白黒反転して続くのは、いわいさんの案。

さて。このアニメ、見方によっては自分自身のミニチュアが16個あると思うこともできる。ミニチュア4個が第一世代だと考えれば、第二世代が16個ある訳だ。縮小率を変えていく途中で、ミニチュアの個数を16個から4個に減らしたら、循環するアニメができるのではないかしら。

これは面白そうだと、ひとりで盛り上がった。そこで、いわいさんにお願いして作ってもらったのが次のアニメ。



なのだけれど、いわいさんの評は「どうなるんだろうな~と注目してると消えますw」。私の感想も「線香花火の風情ですねえ。もののあはれ」ということで、いささか企画倒れになってしまった。

フラクタルアニメのその1もその2も、じつは背景に「フラクタル図形(自己相似集合)同士の包含関係への興味」がある。どんな順序構造があって、どう遊べるのか。

きっと、これだけだとまだ伝わりにくい。コラボレーションは続きます。

# by j344 | 2014-11-02 00:01 | 動く壁紙 | Trackback | Comments(1)

フラクタルアニメ その1

友人のいわいまさかさんにお願いして、幾何学アニメを形にしてもらいました。フラクタル図形が踊ります。
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元の記事(いわいさんのブログ)ではアプリが公開されています。

コラボは続きます。乞う、ご期待!

# by j344 | 2014-10-09 23:36 | 動く壁紙 | Trackback | Comments(0)

くるくる回る白いドット

最近、GIZMODOの「このくるくる回る白いドット、実は真っ直ぐ往復してるだけなんだぜ」という記事をTwitter他で紹介した。"Crazy Circle Illusion! "という、ふた通りの解釈ができるアニメーションの紹介記事である。

すると、友人の宮本尚さんから「これは、それぞれのドットの動くタイミングを変えるとどうなるんですか?」という質問があった。少し考えて「白いドットでできた図形が変形して行くのではないかと思います」と答えたのだが、そのときはどんなふうに変形するのかまでは想像が及ばなかった。今日は実際にアニメーションを作ってみたので、それをご紹介したい。

ひとつの白いドットの移動速度に注目すると、もともとの動画は速くなったり遅くなったりしている。大きな円の中心付近では速く、円周付近では遅い。まず考えたのは、この白いドットの移動速度を等速にしたらどうなるかということである。やってみたのが次のgifアニメ。
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確かに変形している。補助線を引くとこんな感じになる。
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それぞれの白いドットが等速で直線上を往復しているのが分かる。

さて、白いドットでできた図形。円は等速の往復運動で変形したが、等速の往復運動で変形しないような図形もある。どんな図形だろう。

たとえば、こんなのが考えられる。
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回転しているように見える。これも補助線を引いてみよう。
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中心付近がごちゃごちゃするが、直線上の等速往復運動である。

他にもタイミングを変える方法は色々考えられるが、まだトライしていない。いずれにしても、白いドットでできた図形の形が変わらないのは、なかなか稀なことのような気がする。

# by j344 | 2014-07-27 17:15 | 数学 | Trackback | Comments(0)

黄金比の拡張について

黄金比の一般化としては、たとえば貴金属比というのが知られている(白銀比青銅比など)。でも、ここで考えたいのは、別の方向への拡張だ。

黄金比は正5角形と関係が深い。正7角形や正9角形、一般の正n角形で黄金比に相当するものは何だろうか。この辺りのことがわかると、ペンローズタイルの拡張を考えるのに役立ちそうだ。少し難しいけれど、やってみよう(なお、ペンローズタイルをご存知ない方は、過去の記事「ペンローズタイルの作り方」を参照頂きたい)。

まず、おさらい。正5角形に対角線を引くと、2種類の二等辺三角形ができる。
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各二等辺三角形を、拡大縮小。等辺の長さをぜんぶ1に揃えてみる。
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このとき、底辺の長さに黄金数φ=1.618…が登場する。左の三角形の底辺がφ、右の三角形の底辺が1/φ=φ-1である。正5角形を並べたり、対角線を分割したりすると、いろんなところにφに関係した長さが登場する。 黄金比の性質、さまざまな関係式については、wikipediaを参照してほしい。


さて拡張。正多角形を考える。ここでは、正11角形を例として考えよう。対角線を引くと、たくさんの二等辺三角形ができる。次の5種類の二等辺三角形に注目する。
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各二等辺三角形を、拡大縮小。等辺の長さを1に揃えてみる。
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これらの三角形の底辺の長さを、左からそれぞれb1~b5とする。

このとき、次のような関係式が成り立つ。

(1) b1b2b3b4b5=1
(2) b1-b2+b3-b4+b5=1
(3) b1b2=b3+b1
(4) b2b3=b5+b1

(1)(2)は美しいが、(3)(4)はよく分からない。でも、掛け算が変な足し算になったりしていて面白い。端数が出てこずにb1~b5だけで書けるのも不思議だ。乗積表(もどき)を作っておくと法則性が見えるかもしれない。
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どう証明するか。1の22乗根を使うと上手く計算ができる。

なぜ突然1の22乗根が出てくるのか。正n角形と1のn乗根には深い関係があって、zn=1の根は複素平面上で単位円をn等分する。次の図を見ると、b1~b5が1の22乗根で表せそうな気がしてくる。
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という訳で、z=e(π/11)i=cos(π/11)+i sin(π/11)とおくと、b1~b5は次のように書ける。
b1=z-z10
b2=z2-z9
b3=z3-z8
b4=z4-z7
b5=z5-z6

これで準備が整った。複素数の計算に慣れていないと分かりにくいかもしれないけれど、あとは、
z11=-1と
z10-z9+z8-z7+z6-z5+z4-z3+z2-z+1=0
に注意して計算すればよい。ひとつやってみると、こんな感じだ。

b1b2=(z-z10)(z2-z9)
   =z3-z10-z12+z19
   =z3-z10+z-z8
   =(z3-z8)+(z-z10)
   =b3+b1

ところで黄金比はどこへ行ったのか。じつは先ほどの(1)と(2)が黄金比の持っていた性質の自然な拡張になっている。正5角形にもどってみると、ふたつの底辺の掛け算φ(1/φ)=1に相当する性質が(1)で、ふたつの底辺の引き算φ-(1/φ)=φ-(φ-1)=1に相当する性質が(2)だ、というふうに見ることができる。また、φ11=b1とおくことにして先ほどの関係式を駆使すると、b2~b5をφ11で表すことができる。面倒なので書かないが、興味のある方は計算してみてほしい。この辺りも黄金数φに似た性質ということができるだろう。

最後に、ペンローズタイルの拡張との関係。最初の5種類の二等辺三角形。底辺のところに鏡を置くと、ひし形が5種類できる。
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これをたとえばこんな風に並べることができる。
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上手く並べると、きっとペンローズタイルの正11角形版ができる。しかし、まだその並べ方を見つけていない。並べ方の分析には、きっと辺の長さや面積の計算が必要だ。その計算には今回検討した、黄金比の拡張を使うことができる。

今回は触れなかったが、各二等辺三角形の面積についても綺麗な表示ができて、なかなか美しい関係式がある。これはまたの機会にまとめようと思う。

正7角形や正9角形でも、正11角形で議論したことの類似が成り立つ。nが合成数か素数かなどによっても、いろいろ様子が違ってくるみたいだが、拡張の基本はこんな感じで行けるのではないかと思う。

# by j344 | 2014-07-10 00:32 | 数学 | Trackback | Comments(4)

折り紙とペンローズタイル

折り紙でペンローズタイルを作る試みにはいくつか前例がある。

ロバート・J・ラングさんのペンタジア(平面に正投影するとペンローズタイルになるユニット折り紙)

などである。

一方、ペンローズタイル自体を折紙作品の展開図だと思って折ってやると、何ができるだろう。もちろん、そのまま(ひし形のタイルのまま)では上手く折れないので折り線を足す必要がある。試行錯誤。トライしてみると、案外きれいに折れて面白かった。
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前例がないかどうか、三谷純さんに聞いてみたら「聞いたことがないですので、面白い試みですね」とのお返事を頂き、これは有望かもしれないぞと嬉しくなってしまった。折る前の原紙はこれである。
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どういう経緯でこれを思いついたのか。私の所属するパズル懇話会の会誌の編集を今回仰せつかったのだが、この会誌、モノクロ印刷である。表紙に使えるいい模様はないかと、過去のブログ記事を読み返していたら「ペンローズタイルの作り方」の途中段階、二等辺三角形タイリングの状態が二色で塗り分けできることに気が付いた。

ここで、ふと折り紙の「二色定理」を思い出した(平坦に折り畳める折り目で区切られた領域は、二色で塗り分けが可能である)。川崎定理 の条件も満たしているみたいだ。逆は必ずしも真ならずではあるのだが、何だかこれは折れるのではないか。折ってみよう。試しに折ってみたら、できてしまった。という訳で、もしも会誌がフルカラーであったなら、おそらく今回の発見はなかったのである(平坦折りについての解説は、三谷純さんの折り紙研究ノートをご参照頂きたい)。

山折り谷折りは試行錯誤で決めたので、分析が行き届いておらず、どこが山でどこが谷かを描き込んだ展開図はまだ作っていない。たぶん、前川定理の条件(平坦折りの頂点に集まる「山折り」と「谷折り」の数の差は±2)も満たしているとは思うのだが、大局的には平坦に折り畳めないらしい。

他の非周期模様(たとえば、Danzer's 7-fold variant)や、もっと大きなサイズのペンローズタイルが上手く折れるかどうか。これも気になるところである。
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とりあえず、今日はここまで。

# by j344 | 2014-05-22 23:40 | 折り紙 | Trackback | Comments(1)

多面体木工 積み木インテリアギャラリー訪問記

5月4日(日)『多面体木工』で有名な、中川宏さんにお会いして来ました。

多面体木工(増補版)

佐藤 郁郎,中川 宏/特定非営利活動法人 科学協力学際センター


訪れたのは、山口県萩市にある「積み木インテリアギャラリーいたち丸」。昨年の夏頃にオープンしたそうです。ゴールデンウィークは、息子の初節句のお祝いのため山口県に帰省していたのですが、調べてみると、実家から車で1時間くらいの場所にありました。思い立ったが吉日。電話でアポイントを取って、妻と子とうちの親父と、4人で向かいました。

予備知識ほとんどなしで伺ったのですが、壁の写真には私も知っている方々のお顔がちらほら。中川さんのお人柄もあって、じつに楽しい時間を過ごすことができました。

妻と私がチャレンジしたのは、正十二面体の切り出し体験
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1種類の治具を使って、立方体を12回カットするだけで、発泡スチロールの正十二面体ができてしまいます。
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赤いのは目印の線です。お土産に二個頂きました(お代は材料費のみ)。

切り出し体験もさることながら、展示物には、いろんな木のオブジェが沢山。
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これは三種類の立体(正十二面体と立方体とジョンソン・ザルガラー多面体)による、空間充填。

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平面の裁ち合わせを応用したパズルもありました。

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工房の色んな治具。

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庭のブランコ。

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もうひとつお土産に、息子のための歯固めも頂きました。

家族連れ、しかも私を含む3人は風邪を引いていたために、1時間ほどで退散してしまいましたが、1人ならたっぷり半日は居座っていたのではないか。また帰省した折には押しかけようと思います。

多面体好き、幾何学ファンの皆様。山口県にご用の際は、ぜひ「積み木インテリアギャラリーいたち丸」まで、足を伸ばしてみては如何でしょうか。

# by j344 | 2014-05-22 17:20 | 紹介 | Trackback | Comments(0)

裁ち合わせの問題 Both Sides Now 出題編1とその解答例

裁ち合わせの問題 Both Sides Now シリーズの続編。

パズル懇話会(Academy of Recreational Mathematics, Japan)での発表スライドを、またWeb用に改造して公開したので、そのご紹介である。詳細は次のSlideShare上のスライドをご参照いただきたい。


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前回は主に正多角形のBoth Sides Nowについての研究だったが、今回は長方形と平行六辺形のBoth Sides Nowが研究対象である。正多角形と大きく違うのは、額縁の内と外とが相似にならないところ。結構自由度が高いので、この路線だけでも色々な問題を作れそうだ。

面積が同じ多角形同士ならいつでも裁ち合わせ可能なのだけれど、ときどき特別にピース数が少なくて済む時がある。その特別なケースを探ること(=設問を考えること)それ自体がパズルとして面白いのだけれど、なかなかこの面白さは、やっている本人以外には伝わりづらい性質ものかもしれない。

ぜひ手を動かして、参加して貰えると嬉しい。
# by j344 | 2014-04-20 23:54 | パズル | Trackback | Comments(2)

半正三角形による平面充填

そのうち記事を書くつもりの相似タイリングの例として。

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色は4色使ったけれど、タイルのサイズは3種類。タイルの形は、どれも内角が30度、60度、90度の直角三角形(半正三角形)である。
# by j344 | 2014-03-29 13:07 | スケッチ | Trackback | Comments(1)

アニメの中割りテスト

これまでこのブログのために作ったアニメーション。一部を除いては、コマとコマの間隔(変化の割合)を、線形に分割していた。

角度を均等に分けたり、辺の長さを均等に分けたり。たとえば、前々回記事のアニメーションを例にとれば、こんな感じだった。
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車で言うと、急発進・急停車になっている。

一方、サインカーブを使って中割り(キーフレームの補間)をすると、動き始めと動き終わりのところの変化を小さくできる。
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コマの数は同じなのだけど、やっぱりこれはサインカーブを使った方が自然かな。
# by j344 | 2014-02-13 01:13 | 動く壁紙 | Trackback | Comments(0)

裁ち合わせの問題 Both Sides Now の補足

先日の記事、MINEさんのブログ PUZZLE of MINE でご紹介頂きました。
こちらの記事「Both Sides Now」をご参照ください。

(1) スライドシェアで公開中の私のスライドの中で「MINEさんの方法」
  と書いたのが、どんな方法だったのか知ることができます。

(2) 詳細な経緯、いくつかの先駆的な検討について知ることができます。
   なお、Inside-Out,Outside-Inは単なる裁ち合せの問題ではなく、
   パズルとして非常に洗練されたものです。

(3) そして、ブログの他の記事を読めば、
   奥深いパズルの世界へと羽ばたくことができます。

まだ裁ち合わせについてはスタートラインに立ったばかりの私ですが、
交流の中で、今後も様々、取り組んで行きたいと考えております。

# by j344 | 2014-02-11 23:19 | パズル | Trackback | Comments(0)
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